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岐阜地方裁判所 昭和50年(ワ)357号 判決 1976年8月23日

主文

原告らの被告に対する別紙債権目録(一)記載の債務が存在しないことを確認する。

原告らのその余の請求を棄却する。

訴訟費用は全部原告らの負担とする。

事実

第一  双方の申立

原告は、「原告らの被告に対する別紙債権目録(一)記載の債務が存在しないことを確認する。被告の原告らに対する岐阜簡易裁判所昭和四七年(ロ)第一二九号仮執行宣言付支払命令正本にもとづく強制執行を許さない。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、

被告は、「原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求めた。

第二  当事者間に争いのない事実

一、昭和四四年五月二〇日当時、原告らは被告に対し別紙債権目録(一)記載の債務を負担していた。

二、右債務の支払のため原告郡上繊維工業株式会社は別紙債権目録(二)記載の為替手形に引受をなし、原告〓我隆司は右手形に保証した。そこで被告は右手形の所持人として原告らに対し別紙債権目録(二)記載の債権を取得するにいたつた。

三、被告は右債権目録(二)記載の手形債権(以下本件手形債権という)にもとづき、昭和四七年二月一〇日原告所有の不動産を仮差押した。

四、被告は本件手形債権について原告らを債務者として、昭和四七年三月某日岐阜簡易裁判所に支払命令の申請をなし、発せられた支払命令に原告らの異議がなかつたので、被告が仮執行の宣言を申請し、仮執行宣言付支払命令正本が同年四月七日原告らに送達され、該命令は同月二二日確定した(岐阜簡易裁判所昭和四七年(ロ)第一二九号仮執行宣言付支払命令)。

第三  原告らの主張

一、別紙債権目録(一)記載の債権は次のとおり短期消滅時効によつて消滅した。

(一)  弁済期である昭和四五年三月一一日より二年を経過した昭和四七年三月一一日をもつて時効消滅。

(二)  仮に本件手形債権につき、支払命令が存することにより原因債権たる本債権の消滅時効が中断したとしても、支払命令が確定した日から再び進行を始め二年を経過した昭和四九年四月二二日をもつて時効消滅。

(三)  仮に本件手形債権を被保全権利とする仮差押により原因債権たる本債権の消滅時効が中断したとしても、仮差押不動産が他の債権者からの競売申立によつて競売され、右仮差押は昭和四八年四月一三日効力を失つた。したがつてその日から再び時効が進行を始め二年を経過した昭和五〇年四月一三日をもつて時効消滅。

二、本件手形債権も原因債権たる別紙債権目録(一)記載の債権が右の如く消滅した以上、その原因を欠くに至り消滅した。

第四  被告の主張

一、請求の趣旨一項の確認の訴は、その原因からして請求の趣旨二項の執行排除を求める理由にすぎず、独立に訴える利益を欠く。

二、確定した支払命令は確定判決と同一の効力を有するから、確定によつて生ずる既判力の標準時以前の原因関係上の抗弁は既判力によつて遮断され許されない。

三、時効は確定判決と同一の効力を有する債務名義のある場合一〇年である。

(別紙)

債権目録(一)

一、金八、四四七、五六六円

但し、被告の原告らに対する商品売掛金及び商品加工金であり、別紙債権目録(二)記載の為替手形金の原因債権である。

したがつて、弁済期は、右手形金弁済期と同じ昭和四五年三月一一日である。

債権目録(二)

一、金八、四四七、五六六円

但し、昭和四四年五月二〇日債務者郡上繊維工業株式会社が引受をなし、債務者〓我隆司が保証をした金額八、四四七、五六六円也支払期日昭和四五年三月一一日、支払地及び振出地とも岐阜市、支払場所岐阜信用金庫長良支店、振出日昭和四四年五月二〇日、振出人ダンデイ被服株式会社、受取人ダンデイ被服株式会社の為替手形の手形金及び右金員に対する昭和四五年三月一一日より支払済に至るまで年六分の割合による損害金

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